「子どもをインターナショナルスクールに通わせたい。でも欧米は学費が高すぎる」
そう考えて東南アジアを調べ始めると、必ず候補に挙がるのがマレーシアです。私も現在、マレーシアでの現地法人設立と並行して、インターナショナルスクールの調査を進めているところです。
この記事では、マレーシア教育移住の全体像——費用・学校・ビザ・エリア選び——を、調べて分かったことと自分が実際に直面した論点として整理します。
⚠️ 前提
学費・制度は毎年変わります。この記事は2026年7月時点の調査に基づく整理であり、個別の学校の学費や入学要件は必ず各校の公式サイト・学校への直接確認をお願いします。私自身まだ学校選定の途中なので、決まったことは順次追記していきます。
1. なぜマレーシアが選ばれるのか
理由は明確で、コストパフォーマンスです。
マレーシアのインターナショナルスクールの学費は、シンガポールより30〜40%、香港より50%安いとされています。同じ英語環境・国際カリキュラムを、大幅に低い費用で得られるのが最大の魅力です。
さらに選択肢の多さも特徴です。マレーシア全土に約200校のインターナショナルスクールがあり、クアラルンプール圏だけで100校以上とされています。毎年新しい学校が開校しているため、選択肢は年々増えています。
「格安インター大国」とも呼ばれる状況で、入学金が10万円程度、年間授業料が50〜70万円という学校もあるほど幅が広いのが実態です。
2. 費用の全体像:年間400〜800万円が目安
まず総額の感覚をつかんでおきましょう。家族構成や選ぶ学校によって変わりますが、教育移住にかかる年間の総予算は、おおよそ400〜800万円が目安とされています。
内訳は大きく次の4つです。
| 費目 | 内容 |
|---|---|
| 学費 | 年間RM20,000〜100,000が一般的(学校とカリキュラムで大差) |
| 学費以外の教育費 | 入学金、デポジット、制服、送迎、アクティビティ、試験料 |
| 住居費 | エリアと物件による |
| 生活費 | 食費、医療、交通、保険など |
注意すべきは2つ目です。 授業料以外の費用によって、予算が15〜25%増えることがあります。「年間の授業料」だけで計算していると、確実に足が出ます。
3. 学費はカリキュラムで大きく変わる
同じ「インターナショナルスクール」でも、採用しているカリキュラムで学費水準が変わります。
| カリキュラム | 年間学費の目安 |
|---|---|
| IB(国際バカロレア) | RM35,000〜85,000 |
| ケンブリッジ(IGCSE/Aレベル) | RM20,000〜55,000 |
IBのほうが高くなる傾向があり、これはライセンス料や教員研修の要件の違いを反映しているとされています。
また価格帯で見ると、年間RM25,000未満の手頃な学校から、RM100,000を超えるプレミアム校まで存在します。ここで重要な指摘があって、高い学費が必ずしも良い結果を保証するわけではないという点です。中価格帯(RM25,000〜45,000)の学校が、豪華な設備よりも学業の質に重点を置くことで最適な価値を提供しているケースも多いとされています。
「高い学校=良い学校」ではない——ここは肝に銘じておきたいところです。
4. エリア選び:学費と利便性のトレードオフ
インター校の主なエリアは、大きくクアラルンプール圏(KL、セランゴール州、ネゲリセンビラン州、ペラ州)/ペナン/ジョホールバルの3つに分けられます。
エリアによって学費水準が違います。クアラルンプールとジョホールバルは高額傾向で、地方都市では15〜20%の節約が期待できるとされています。KLやJBの学校は土地代・施設要件・運営費が高く、小規模都市の学校より学費が20〜30%高くなる場合があるとのことです。
参考として、都市別の年間学費レンジはこう報告されています。
| 都市 | 年間学費の目安 |
|---|---|
| ペナン島ジョージタウン | RM20,000〜65,000 |
| コタキナバル | RM18,000〜55,000 |
| クチン | RM20,000〜60,000 |
ただしエリア選びは学費だけで決められません。学費が安くても、住居費・通学距離・医療環境・日本人コミュニティの有無といった要素が生活の質を左右します。学校を決めると住むエリアがほぼ決まるので、ここはセットで考える必要があります。
5. ビザ:EP+Dependent Pass か、MM2H か
教育移住では、親のビザをどうするかが最初の分岐です。
パターン①:親が働く/事業をする → EP(就労ビザ)+家族のDependent Pass私自身はこちらのルートです(法人設立とEP取得の実録、家族帯同の手続きもご覧ください)。現地法人を設立し、そこからEPを取得して、家族にDependent Passを申請する形になります。
パターン②:親が働かない → MM2HMM2Hは配偶者・子ども・両親を扶養家族として含められますが、就労できず、新MM2Hでは現地法人の役員にもなれません。定期預金と不動産購入が必要で、資金を拘束するタイプの制度です(詳しくはMM2HとEPどっち?で比較しています)。
なお2026年6月1日の改定で、EPのカテゴリーIIIでも新規申請から家族帯同が可能になった一方、最低給与要件はほぼ倍増しています。制度が動いているので、必ず最新情報を確認してください。
6. 学校選びの流れ
調べた限り、一般的な流れはこうなります。
- 予算を決める(学費+隠れ費用+住居+生活費の総額で)
- カリキュラムを選ぶ(IB/ケンブリッジ/アメリカ式など)
- エリアを絞る(学費水準・通学・生活環境)
- 候補校をリストアップし、公式サイトで学費と入学要件を確認
- 学校見学(可能なら現地で)
- 入学審査・手続き
- ビザ手続きと並行して進める
実体験:ビザと学校は並行して進めるべきでした
私は当初「まずビザ、次に学校」と順番に考えていました。ところが実際に学校を調べ始めると、学校の年度開始時期、エリアごとの学費差、通学の現実性が絡み、ビザのスケジュールとの調整が必要だと分かりました。
子連れで移住するなら、ビザと学校は最初から並行して情報を集めるべきです。これは実際に動いてみて痛感した点です。
7. よくある誤解
- 「学費が安いから総額も安い」 → 隠れ費用で15〜25%増える。住居・生活費も含めて計算が必要
- 「高い学校が良い学校」 → 中価格帯が最適な価値を提供するケースも多い
- 「MM2Hなら働ける」 → 就労不可。法人の役員にもなれない
- 「学校は後で決めればいい」 → 学校が住むエリアを決める。ビザとも連動する
- 「200校あるから選び放題」 → 選択肢が多いほど基準がないと決められない。先に予算と方針を固めることが必要
まとめ
- マレーシアの学費はシンガポールより30〜40%、香港より50%安い
- 全土に約200校、KL圏に100校以上。選択肢は多い
- 年間総予算の目安は400〜800万円。学費はRM20,000〜100,000が一般的
- IBはRM35,000〜85,000、ケンブリッジはRM20,000〜55,000
- 隠れ費用で15〜25%増えることを前提に予算を組む
- KL・JBは高額傾向、地方都市は15〜20%安い
- ビザはEP+Dependent PassかMM2Hの二択。目的で決まる
- ビザと学校選びは並行して進める
私自身まだ学校選定の途中です。見学して分かったこと、選ぶ基準として実際に効いた要素は、進み次第この記事と関連記事に追記していきます。
免責事項:本記事は筆者個人の調査と体験に基づく情報提供であり、教育・移民・税務に関する助言ではありません。学費・制度・要件は変更されます。個別の学校の学費や入学条件は必ず各校の公式情報でご確認ください。

